令和6年1月31日、ユマニテクプラザにおいて「四日市CNXプロジェクト研究会~脱炭素社会実現に向けた国の政策、委託・助成事業紹介~」をハイブリッド形式で開催しました。研究会にはカーボンニュートラルに関心を持たれている様々な業種の企業、自治体の関係者が会場・オンライン合わせて約90名参加しました。

三重大学では、産学官連携プラットフォームを基盤に社会的インパクトのある成果を創出するプロジェクトを地域で展開していくことを目的に、令和4年4月1日に「地域共創展開センター」を設立し、同年11月に「地域共創展開センタープロジェクト」の一つとして、「四日市CNXプロジェクト」を立ち上げました。このプロジェクトは、産学官が一体となって、四日市市を世界から選ばれるカーボンニュートラルな環境先進都市へ転換するための基盤形成を目指しています。

今回の研究会は、カーボンニュートラルへの理解を深め、産学官連携の基盤形成を図ることを目的とし、第一部の前半では経済産業省中部経済産業局と環境省中部地方環境事務所からご講演いただき、後半では四日市市・大学がそれぞれ取り組んでいるカーボンニュートラルに向けた活動について紹介しました。第二部では講演者と参加者の名刺交換会と希望者を対象とした講演者との個別相談会を実施しました。

開会にあたり、三重大学みえの未来図共創機構地域共創展開センター長である今西誠之教授から、「カーボンニュートラルというグローバルな課題を解決するためには地域の特性を考慮した課題の解決策の提案が必要不可欠である。ぜひ、本日の研究会を産官学連携の基盤づくりのきっかけとなることを期待している。」と挨拶がありました。

地域共創展開センター長 今西誠之

続いて、四日市CNXプロジェクトリーダーである池浦良淳教授からプロジェクトの概要について説明がありました。

プロジェクトリーダー 池浦良淳

第一部 講演会
講演① 「カーボンニュートラルの実現に向けて」
経済産業省中部経済産業局カーボンニュートラル推進室室長補佐の田中理央氏からGX(グリーントランスフォーメーション)推進法の概要や中部地方におけるカーボンニュートラル対応の課題等、国内の政策動向について説明がありました。その後、中小企業のカーボンニュートラルへの対応の重要性にも触れ、併せて「カーボンニュートラル手引書の作成」等、企業に寄り沿う形で支援する政策についても紹介されました。

経済産業省 中部経済産業局 
カーボンニュートラル推進室 室長補佐 田中理央 氏

講演② 「地域脱炭素の推進に向けて」
環境省中部地方環境事務所脱炭素創生室長の新原修一郎氏から地域脱炭素の取組として、2030年までに全国100ヵ所に脱炭素のモデル地域を作る「脱炭素先行地域」の説明があり、残念ながら三重県内ではまだ選定された地域がない現状について紹介がありました。また、企業を取り巻く潮流、そして企業が投融資を受けるためには環境・社会問題に積極的に取り組むことが必要な時代になってきていると説明があった他、中小企業の取組事例を交えながら、脱炭素社会実現のための支援策が紹介されました。

環境省 中部地方環境事務所
地域脱炭素創生室長 新原修一郎 氏

講演③ 「四日市コンビナートにおけるカーボンニュートラル化に向けた取組について」
四日市市商工農水部工業振興課長の釜瀬俊之氏から四日市が取り組むカーボンニュートラル化に向けた活動として、昨年度開催された「四日市コンビナートのカーボンニュートラルに向けた検討委員会」及び今年度から開催されている「四日市コンビナートカーボンニュートラル化推進委員会」について紹介があり、四日市コンビナートがカーボンニュートラル化された社会の中でもモノづくりの拠点となっていけることを最終目的として活動していく旨、2050年の四日市コンビナートの将来ビジョン(グランドデザイン)を交え、説明がありました。

四日市市 商工農水部
工業振興課長 釜瀬俊之 氏

講演④「四日市CNX に向けたオンデマンドビデオ教材」
三重大学大学院地域イノベーション学研究科の丸山教授から既にプロジェクトとして取り組んでいる動画を活用した「企業人材向けのカーボンニュートラル教育」について紹介がありました。その後、三重県や四日市市に協力いただきながら、四日市コンビナート関連企業を中心に展開していきたい旨説明がありました。

地域イノベーション学研究科教授 丸山直樹

閉会を迎えるにあたり、四日市CNXプロジェクト副リーダーの金子聡教授から、講演いただいた方々と参加者への感謝が述べられ、引き続き行われる第二部でも積極的に情報交換してほしい旨の挨拶があり、第1部の幕を閉じました。

副プロジェクトリーダー 金子聡

引き続き行われた第二部では、参加者と講演者との名刺・情報交換会(ポスターセッション)及び個別相談会が行われ、時間いっぱいまで活発な意見交換が行われました。研究会全体を通して、参加者がカーボンニュートラルへの理解を深めると同時に今一度それぞれが取り組むべきカーボンニュートラルを見つめなおす大変貴重な機会となりました。