令和7年3月24日、ユマニテクプラザにおいて「四日市CNXプロジェクト研究会in北勢サテライト~地域の自動車分野における資源循環・サーキュラーエコノミーの実践に向けて~」をハイブリッド形式で開催しました。研究会にはカーボンニュートラル(CN)やサーキュラーエコノミー(CE)に関心を持たれている様々な業種の企業、自治体の関係者が会場・オンライン合わせて約90名参加しました。

三重大学では、産学官連携プラットフォームを基盤に社会的インパクトのある成果を創出するプロジェクトを地域で展開していくことを目的に、令和4年4月1日に「地域共創展開センター」を設立し、同年11月に「地域共創展開センタープロジェクト」の一つとして、「四日市CNXプロジェクト」を立ち上げました。このプロジェクトは、産学官が一体となって、四日市市を世界から選ばれるカーボンニュートラルな環境先進都市へ転換するための基盤形成を目指しています。

今回の研究会は、経済産業省の政策動向や自治体の取り組み、EV・FCVのライフサイクル管理、サプライチェーンの脱炭素化など、CEに関する最新の動向を共有し、産学官連携によるCNの促進を目的とします。

開会にあたり、三重大学みえの未来図共創機構地域共創展開センター長である今西誠之教授から、「カーボンニュートラルは重要な社会的課題。日本の二酸化炭素の排出量の約3~4割は産業分野によるもので、排出量を削減するためには産業界の果たす役割が大きい。削減方法は多種多様で地域によって最適化が必要であり、産学官の連携が強く求められる。本日の研究会が大きな課題解決に繋がっていくことを期待している。」と挨拶がありました。

地域共創展開センター長 今西誠之

続いて、四日市CNXプロジェクトリーダーである池浦良淳教授からプロジェクトの概要について説明がありました。

プロジェクトリーダー 池浦良淳

第一部 講演会
講演① 「成長志向型の資源自律経済の確立に向けた取り組みについて」
経済産業省 中部経済産業局 環境・資源循環経済課総括係長の鬼頭渉氏から、日本が目指す成長志向型の資源自律経済、サーキュラーエコノミー施策を行う必要性について説明がありました。その後国の施策として、国、自治体、大学、企業等の関係機関がサーキュラーエコノミーの実現に向けて連携するサーキュラーパートナーズ(CPs)とその会員向けの支援事業「産官学連携による自律型資源循環システム強靭化促進事業」などについても紹介がありました。また、中部経済産業局では自動車産業に絞ったサーキュラーエコノミーの取り組みを行っていることも紹介がありました。

経済産業省 中部経済産業局 環境・資源循環経済課 総括係長 鬼頭 渉 氏

講演② 「SDGs×脱炭素経営の取組」
ICDAホールディングス株式会社代表取締役社長の向井弘光氏から、自動車リサイクルの自社の取り組みについて説明がありました。産学官連携により実現した太陽光発電施設と蓄電設備を有する販売・買取を複合したオートモールの設置、中古車をほぼ100%リサイクルできるリサイクルセンター、人材育成の取組などについて紹介がありました。

ICDAホールディングス株式会社 代表取締役社長 向井 弘光 氏

講演③ 「産学官連携によるCN化に向けた取組み」
三重県 雇用経済部新産業振興課主査 源嵜晃司氏から、国の政策動向を踏まえた三重県の取り組みとして、脱炭素と経済発展の両立を目指す「ゼロエミッションみえ」プロジェクトの説明がありました。また自動車産業のCN化に向けた人材育成などの取り組み、工業研究所の再整備に伴っての機能強化、四日市コンビナートカーボンユートラル化の取り組みなどについても紹介がありました。

三重県 雇用経済部 新産業振興課主査 源嵜 晃司 氏

講演④ 「四日市市のごみ処理について」
四日市市環境部生活環境課長の伊藤慎氏から、四日市市のごみ処理の取り組みについて、プラスチック類の処理を行う際の熱エネルギーで発電を行うクリーンセンターの紹介や食品ロス削減の取り組みなどについての紹介がありました。

四日市市環境部 生活環境課長 伊藤 慎 氏

講演⑤ 「ブルーカーボンリサイクルに関する研究-三重大学の取り組み-」
三重大学大学院生物資源学研究科の柴田敏行准教授から、三重大学海藻バイオリファイナリー研究センターでの研究について説明がありました。CO₂吸収に優れた大型藻類が生成する海藻バイオマスの「モノづくり」への利用や四日市港などで実施している大型藻類の養殖、マリンポリフェノールの抽出と利用などについて説明がありました。

生物資源学研究科准教授 柴田 敏行

「四日市CNX に向けたオンデマンドビデオ教材の紹介」
三重大学大学院地域イノベーション学研究科の丸山教授からCNXプロジェクトの取り組みとして、動画を活用した「企業人材向けのカーボンニュートラル教育」について紹介がありました。

地域イノベーション学研究科教授 丸山直樹

閉会を迎えるにあたり、四日市CNXプロジェクトリーダーの池浦良淳教授から、講演いただいた方々と参加者への感謝が述べられ、引き続き行われる第二部でも積極的に情報交換してほしい旨の挨拶があり、第一部の幕を閉じました。

プロジェクトリーダー 池浦良淳

引き続き行われた第二部の参加者と講演者との名刺・情報交換会では、時間いっぱいまで活発な意見交換が行われました。

情報・名刺交換会

また会場では、参加者にトヨタ自動車から特別にご提供いただいたサーキュラーエコノミーの関連資料を配布しました。
研究会全体を通して、参加者が資源循環・サーキュラーエコノミーへの理解を深めると同時にそれぞれが取り組むべき課題などを見つめなおす大変貴重な機会となりました。